吉本興業が契約書を作成する方針。他の事務所はどう出る? 25日、吉本興業が所属タレントと契約書を交わす方針を決めたことが分かりました。 外部有識者からなる「経営アドバイザリー委員会」を設置するとも発表し、これにより、今までの口頭契約がほとんどだったタレントとの契約の在り方についても諮問することとなり、内容なども検討する意向のようです。 他の事務所も、同様のケースに対して慌てて書面での契約書を作成したりと、吉本騒動の余波を食らっているのだそうです。 |
吉本興業が芸人との契約書を作成する意向。他の事務所は?
(※記事は現時点での情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、人物については、敬称略にて記載させていただいております。何卒ご了承願います)
25日、吉本興業が所属タレントと契約書を交わす方針を決めたことが分かりました。
同日、外部有識者からなる「経営アドバイザリー委員会」を設置するとも発表し、これまで口頭での契約がほとんどだったタレントとの契約の在り方についても諮問し、内容などを検討する模様です。
ただ、基本、芸人との契約は今後も「紙より口頭で」との見解を、吉本工業HD会長が語りました。
朝日新聞デジタルが7月13日に報じた大崎洋会長のインタビュー。
「結論から言うと変えるつもりはない。吉本に契約書がないと言っているのは、つまり専属実演家契約のこと。それとは別に口頭で結ぶ諾成契約というものがあり、それは民法上も問題がなく成立する」
出典元: 吉本が所属芸人と契約書を交わさない理由 (C) PRESIDENT Online
公正取引委員会の事務方トップが独禁法上好ましくないとの見解を出す。
公取委(公正取引委員会)の山田昭典事務総長が24日、「契約書がないことが直ちに問題になるわけではない」としながらも、「契約内容が不明確なことで優越的地位の乱用などを誘発する原因になり得る」と発言したことを受けて、吉本工業が所属タレントと契約書を交わす方針を決めた訳ですが、ケースバイケースだとするに留め、今後、求めるタレントには書面での契約に応じるとの意向を示しました。
「おそらく、芸人たちが期待しているようなものにはならないでしょう。ギャラの配分がハッキリさせられると思っているかもしれませんが、5:5や6:4と一律で決まるわけでもなくケースバイケースで、せいぜい振込通知に明示されるようになる程度では。ましてや、ギャラアップにつながるようなことはないと思われます。また、それが社員としての正規雇用契約であるはずもなく、個人事業主としての所属契約になるでしょうから、福利厚生などとても望めないし、最低賃金が提示されることもない可能性が高い」(芸能プロ関係者)
出典元: 芸人が最も気になる吉本興業が重い腰を上げた「契約書」の“つれない中身” (C) 東スポWeb
吉本興業だけじゃない。契約書を作成しない他の事務所は?
所属タレントとの契約書を作成していないのは、吉本だけじゃないという現実。
芸能界では吉本以外の事務所でも、所属タレントとの契約書を作成していない事が珍しくないといいます。
今回たまたま、闇營業問題で吉本がクローズアップされたことから、所属芸人たちからの不平不満が噴出し、市長や公正取引委員会の事務方トップが口を出す展開となりました。
現在、対応に追われているという、他の事務所の現状とは。
所属タレントとの契約の在り方を見直すと決めた吉本興業の余波が、他の芸能プロダクションにも及んでいるといいます。
慌てて書面での契約を準備するといった事務所も出ているといい、芸人たちにとって最悪な事態となったのが、大手事務所Xの事例。
そこの所属女性タレントが、仕事が入っていないことを理由に”リストラ”されたというのです。
書面で契約を交わしていないタレントをふるいにかけ、クビ対象者をリストアップしているとの情報があるようで、現在、この大手事務所Xに所属する他の芸能人たちは戦々恐々としているといいます。
Xには100人を超える芸人や役者、文化人らが所属しているが、聞けば「吉本同様、名前の知られた大物や人気タレントの大半は、口頭での契約。書面で契約しているのは、ここ数年で事務所入りした若手とかだけ」(前同)だという。
出典元: 吉本契約書問題余波…大手芸能事務所で“駆け込みリストラ”
(C) 東スポWeb
吉本興業には現在約6000人の芸人が所属しているといいますが、書面での契約がないから所属できるのだとの見方が大きいようです。
「今後、吉本が書面での契約を進めていく中で、売れていない芸人とは契約を結ばないということになってもおかしくない」とお笑い関係者。
出典元: 吉本契約書問題余波…大手芸能事務所で“駆け込みリストラ”
(C) 東スポWeb
吉本興業で作成される契約書は他の事務所にも必要か。
吉本興業の大崎洋会長は、「口頭契約は、長い歴史の中で築かれた会社とタレントとの信頼関係の形」とし、記者会見での岡本昭彦社長も、紙の契約書は今後も作らないという方針を表明しました。
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ところが騒動の最中、公正取引委員会の事務方トップが、「契約書がないことは競争政策の観点から問題がある」と発言すると、その翌日には一転して「希望するタレントとは書面で契約書を交わす」と表明したのは周知のとおり。新喜劇のような変わり身の早さはいかにも吉本らしいところだが、かたくなに形を変えようとしなかったのは、それだけこの形に誇りとこだわりがあったからだろう。
出典元: 吉本興業「口頭契約は信頼関係の形」 一連の騒動の根本原因は契約書問題 (C) 日刊ゲンダイDIGITAL
芸人との契約を吉本興業が交わさないことで、今回の”闇営業”という問題が絡む一連の騒動へと発展しました。
他にも、契約書を交わさないことからくる問題点としては、以下の項目が挙げられています。
口頭契約は、ギャラ配分を分からなくできるメリットがあった。
もちろん書面で契約書を交わさないことで吉本にはさまざまなメリットがあった。実際の売り上げやギャラの配分をブラックボックスにしておくことは、吉本のビジネスモデルの根幹にかかわる部分ともいえる。そのエゲツなさは、所属芸人が頻繁にネタにしている通りだ。
出典元: 吉本興業「口頭契約は信頼関係の形」 一連の騒動の根本原因は契約書問題 (C) 日刊ゲンダイDIGITAL
6000人の所属芸人と口頭契約の信頼関係を築くのは難しい。
大崎洋会長曰く、「信頼関係の形」としての口頭契約は、実際の芸人たちとでは、数が多すぎるのか、信頼関係を築くどころか、ベテランから新人まで多くの芸人たちが不満や不信を表明する騒動へと発展しました。
このような状態では、「ファミリー」という言葉だけでは芸人たちは納得しないだろうと、そのような見方がされているようです。
口頭契約が悪いと思わせる風潮は、罠か? メリットがあるのは?
ただ、口頭契約が悪い訳ではなく、それを利用する双方の言い分が食い違うことでトラブルを抱えやすくなる、そのようなレベルでの信頼関係しか築けていないことに問題があるのであって、そのような歪な社会で生きるしかない現代人が取れる方策としては、今のところは”書面による契約”なのだろうと、それぐらいだと思うのです。
このような社会を息詰まると感じる人々であるならば、書面による契約が、プラスかマイナスかは一目瞭然ではないかと思われるのですが、ギャラ配分などに不平不満があるのであれば、最初から吉本で仕事しなければ良いのであって、じゃあ何がなんでも書面にして下さい、と願う根拠は何なのかとなったら、ハリセンボン春菜が訴えていたように、口頭ですらもそのような話は一切なかったということが原因なのでしょうか。
それが本当であるならば、口頭契約ですらも詳細な話がなかった、ということ事態が問題なのであって、口頭契約事態が悪いか否かとは、また別問題だと思うのです。
記憶に残しておくことが無理そうなら、書面で残せ、となるのでしょう。
ギャラ配分が安いとかいった話とはまた別問題であって、ギャラの安さに不満があるのであれば、それは個別で吉本経営陣と交渉するほかはないでしょうし、もしくは移籍などをするしかないのかもしれません。
吉本興業が契約書作成に同意したことは、他の事務所にも手本となるか。
吉本興業は、『NSCお笑い夏合宿』の誓約書は作成していた?
吉本興業が以前から作成していたという『NSCお笑い夏合宿』の誓約書についての不手際が報じられました。
これは、9月9日~11日に静岡県掛川市で吉本興業が主催する合宿で、そこに参加する為の誓約書(規約及び注意事項)が消費者問題に詳しい後藤正樹弁護士によって、「書く必要のないことが記載されている。今の法制度にのっとらない、人を人として扱わない規約」と指摘され、「訴訟ができない」ことについても、「憲法で認められた裁判を受ける権利を放棄させようとする内容だ」と問題視されたようです。
誓約書に組み込まれていた免責事項。
「合宿中の負傷、これに基づいた後遺症、あるいは死亡した場合、その原因を問わず吉本興業に対する責任の一切は免除されるものとする」との記載内容があったという誓約書。
ただ2001年施行の消費者契約法では、イベント主催者の不法行為で生じた損害の責任をすべて免除するような条項は無効だとされているようで、3年前に顧問弁護士の指摘を受けて「責任の一切は免除される」などの記載を吉本側は修正したようなのですが、なぜか今年の規約には記載されたままだったというのです。
合宿の内容とは?
「プールで大喜利をしたり、ギャグで競い合ったり、罰ゲームはおかずの一品を減らす程度で、命の危険はない」とのこと。
誓約書に組み込まれた免責事項については、「今年になって担当者が代わり、引き継ぎがうまくいかずに修正前の規約を渡してしまった」としたうえで、「生徒と親御さんに与えた不信感を払拭できるよう説明していきたい」と謝罪し、規約については「間違った内容が記載されているため修正する」としたようです。
吉本興業が契約書を作成することを契機に、他の事務所も追随するか?
今回の吉本の騒動を機に、他の芸能事務所での契約書無しの芸人たちとの問題も改善される可能性がある。
そもそも芸能界には、独占禁止法に違反している契約書がたくさんあると話すのは、佐藤大和弁護士(聞き手はBusiness Insider Japan)。
このような騒動は吉本だけの問題ではなく、不当にアーティストの権利を搾取していたり、不当な移籍制限があったり。自由な競争ができないというのは、テレビ業界、芸能事務所業界全体の問題だとも話し、自分たちの協会を作って事務所側と対話できる組織を早めに作ることも大事ではないかと提案しているようです。
今吉本の芸人さんが吉本の問題をいろいろ言っていますが、他の事務所のタレントさんは何も言っていない。対岸の火事だと思っている。自分たちの火事だと思って、芸能人が声を上げて、自分たちの権利を守るために、内部から立ち上がってほしいと思っています。
出典元: 「まず、テレビ局が変わらないと」エンタメ専門弁護士がみる吉本騒動 (C) Business Insider
吉本興業が契約書を作成するようです。他の事務所にも世間は対応を迫るか? 25日、吉本興業が所属タレントと契約書を交わす方針を決めたことが分かりました。 外部有識者からなる「経営アドバイザリー委員会」を設置し、今まで口頭契約でやってきたタレントとの契約の在り方について諮問し、内容なども検討する次第となったようです。 ただし、これはケースバイケースのようで、タレントの希望によっては、今までと同様、引き続き口頭契約でやっていくとの方針を示しているようです。 これにより、吉本だけではなく、同様のケースを抱える他の事務所でも、慌てて書面での契約書を作成したりと、今回の吉本騒動の余波を食らっている模様です。 これで契約書関連の、芸人たちの不平不満は少しは丸く収まるでしょうか、それとも、また別の不平不満の対象が出現するでしょうか。 |