GSOMIA破棄 米国は失望するも仲介の意思は見せず

GSOMIA 破棄 米国 失望 仲介 韓国の康京和外相の画像 日韓関係 朝鮮半島情勢
出典元: 河野太郎外相との会談を終えた韓国の康京和外相(手前)=21日、北京市郊外 (C) JIJI.COM
GSOMIAが破棄されました。韓国の決定に米国は失望したとの表明をするも、仲介の話は出てこず
8月22日、韓国大統領府(青瓦台)は、国家安全保障会議にて、24日までが通告期限だったGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)を破棄することを発表しました。
これにより、毎年行われてきた協定の延長はなくなり、11月23日以降は、日韓当局は機密性の高い軍事情報を直接やり取りすることができなくなるといい、日本側は「容認できない」と反発。
米国防総省も、報道官論評で「強い懸念と失望を表明する」と明らかにしたようです。
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GSOMIAの破棄について、米国が失望を表明。日韓の仲介役にはならず。

(※記事は現時点での情報であり、最新のものとは異なる場合があります。また、人物については、敬称略にて記載させていただいております。何卒ご了承願います)

8月22日、韓国大統領府(青瓦台)は、国家安全保障会議にて、24日までが通告期限だったGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)を破棄することを発表しました。

これで自動延長はなくなり、11月23日以降は、日韓当局は機密性の高い軍事情報を直接やり取りすることができなくなります

韓国がこの協定の破棄に踏み切ったのは、元徴用工問題に対する『報復』としての日本の対韓輸出規制強化への対抗措置だとみられており、日本側は「容認できない」として反発を強めているようです。

GSOMIAを破棄した韓国に米国が強い懸念と失望を表明。2国間の仲介はする気なし?

青瓦台(韓国大統領府)のGSOMIA破棄について。

韓国大統領府は「苦渋の選択だった」としつつも、韓国内には「国益に見合わない」という声もあることから、破棄したのは本側に責任があると主張したようです。

GSOMIA 破棄 米国 失望 仲介 米国・ポンペオ国務長官の画像

出典元: 米国・ポンペオ国務長官 2019年08月15日撮影 (C) 時事通信社

ポンペオ米国務長官はGSOMIA終了の発表直後に「失望したと述べ、米国防総省も報道官論評で「強い懸念と失望を表明する」と明らかにした。
出典元: GSOMIA終了 米国の失望は「当然」=韓国大統領府 (C) ソウル(聯合ニュース)

アメリカ政府高官が、同盟国に対して、『Disappointed = 失望』という強い表現の言葉を使うのは極めて異例です(22日、訪問先のカナダでの記者会見にて)。

GSOMIAの破棄で韓国が米国に与えた失望と批判と警告。日韓の仲介は米国にとってマイナスなのか?

アメリカの失望と批判と警告。

22日、米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が報じた、トランプ政権高官の話として、韓国政府はアメリカ政権に対して協定破棄の意思はないとの態度を事前に示していたとの内容があるようです。

政権高官は「韓国のこうした行動は、文政権が米国などとの集団的安全保障に真剣に関与していく意思があるのか、根本的な疑問を生じさせるものだ」と述べ、韓国の同盟軽視の姿勢を痛烈に批判した。
出典元: 【GSOMIA】米で募る韓国への「怒りと不信」 影響甚大 (C) 産経新聞

「協定は北朝鮮の行動に関する日米韓の情報共有を円滑化させてきた」と意義を説明するのは、政策研究機関『戦略国際問題研究所』(CSIS)のビクター・チャ上級顧問。

協定破棄は「米国の同盟システムと対立する北朝鮮や中国、ロシアを利するだけだ」と警告したそうです。

関連記事:GSOMIA破棄 喜ぶ北朝鮮と中国

GSOMIAを破棄。韓国の決定に米国は失望と懸念を表明するも、2国間を仲介する気は無し。

日韓『対話』で一致はするものの、解消しない歴史的対立では埋まらぬ溝で膠着状態。

21日の日韓外相会談後、徴用工問題などで進展の具合を記者団から質問された河野太郎外相は、「外交当局間で問題が解決できるように意思疎通をしっかり続けていこうということは一致した。これから前進させていきたい」と答えるだけで精一杯だったとの状況が伝えられています。

事実上の対抗措置の応酬に発展した中で向き合った河野太郎、康京和両氏は、徴用工問題などを含め立場の違いを埋めることはできなかった
出典元: 日韓対立、見えぬ接点=優遇除外、発動迫る-徴用工、一致は対話のみ (C) JIJI.COM

日本による優遇対象国の除外措置の発動が28日に迫っている中、韓国側も9月中に同様の措置に踏み切る構えをみせており、さらに韓国での日本製品の不買運動の広がりと、今回の大統領府(青瓦台)によるGSOMIA破棄の決定で11月23日以降は、日韓当局は機密性の高い軍事情報を直接やり取りすることができなくなるなど、民間レベルから双方の経済に深刻な影響が及ぶ可能性が懸念されており、膠着状態からの脱却の道はいまだ見えていないとされているようです。

関連記事:韓国がGSOMIA破棄 経済への影響は

一方、専門家の間では日本の安全保障に関してはGSOMIAの破棄が与える影響は軽微と言われています。

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手詰まり感が広がる日韓対立。

歴史問題に絡む2国間の対立を解消するどころかますます亀裂が入り、修復不可能にすら見える日韓には、事態打開に向けて有効な手立てがいまだ見いだせていないようで、手詰まり感が広がっています。

関連記事:冷え込む日韓関係について、双方の民間交流を促進すべきという声は36.5%

会談前には、河野外相に一瞬笑みを見せ、和らいだ表情で写真撮影に臨んだ康外相も、約40分を経た会談後には表情もこわばり、報道陣の問いかけには「話すことはない」と、説明を拒んだとされています。

韓国外務省当局者も、外相会談については「厳しい雰囲気だった」と韓国メディアに説明したようです。

日本製品の不買運動と反日デモには文大統領は「感情的ではだめだ」と抑制を呼びかけるほどに深刻化しているといいます。

こうした情勢にある朝鮮半島の不安定さに、韓国としてどこまで日本との関係改善の意思と意欲があるのかは不透明だとして、手詰まり感のある2国間の当事者同士での解決は、すでに困難を極めているのが現状だとの見方が強そうです。

GSOMIA 破棄 米国 失望 仲介 韓国の康京和外相の画像

出典元: 河野太郎外相との会談を終えた韓国の康京和外相(手前)=21日、北京市郊外 (C) JIJI.COM

GSOMIA破棄で混迷を極めるのか日韓情勢。米国の失望との表明には、仲介を買って出る意思は含まれず。

アメリカは日韓の仲介をしたがらない?

8月22日に破棄したGSOMIAについて、同日、この協定の継続は「韓国の国益と矛盾している」とした韓国大統領府に対して、日米は、3カ国による東アジアの安全保障に影響を与えかねないとの懸念を表明しました。

ただ、実際にはGSOMIAの破棄によって、日本と韓国との2国間の防衛秘密の交換においては、相互にあまり実害はないとの見方があるようで、日本は韓国からの情報に頼らなくとも、それほど困らないとする向きがあるとのこと。

また、アメリカにしても、日韓対立を両国に早期に解消するようにと求めはするものの、歴史問題が複雑に絡んで感情的となりやすい2国間を、他国同様、アメリカ自らが仲介する気などはないようです。

言うまでもなく、困るのは米国である。米国はGSOMIAを、軍事情報面における同盟国のネットワーク、すなわち対中国包囲網の重要な要素と認識しているからだ。それゆえ、米中が覇権争いを繰り広げる北東アジア戦域の中で、日韓間のGSOMIAが破棄されることは、米国にとっては極めて大きな「痛手」になる。
出典元: 米国は大激怒……「韓国GSOMIA破棄」で文在寅政権は“ルビコン川”を渡った! 元陸将が分析――日韓決裂で中国と金正恩がほくそ笑んでいる – 福山 隆 (C) BLOGOS

米国防総省も韓国のGSOMIA破棄の決定には、「日韓関係で他の領域で摩擦があったとしても、私たちの相互防衛と安全保障の連携の一体性は続かなければいけないと強く信じている」との声明を出し、「可能な分野で日韓との2国間、3カ国の防衛協力を追求し続ける」との方針を示したようです。

韓国国内に関しては、その反応は割れているとし、与党や政権派は賛成する一方で、野党は安全保障の危機にまで影響が拡大したことを憂慮する傾向が強いようです。

関連記事:韓国がGSOMIA破棄 韓国世論も分裂

GSOMIAが破棄。米国の失望表明は、2国間の仲介に繋がらず
8月22日、韓国大統領府にて、24日迄の通告期限が迫る中、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)を破棄することが発表されました。
これにより、11月23日以降は、日韓当局は機密性の高い軍事情報を直接やり取りすることはできなくなり、日本側も「容認できない」と反発し、米国防総省も、「強い懸念と失望を表明する」と明らかにしました。
米国は2国間協議での対立解消を促していますが、中国とは違い複雑な歴史問題が絡んで感情的となりやすい国民が多い日韓の仲介役に自らが立とうとする気配はなさそうです。