サニブラウン、東京五輪代表は確定か? 日本時間12日、陸上男子短距離のサニブラウン(20)が、大学南東地区選手権・男子100m決勝で「9秒99(追い風1.8m)」をマークして1着! 日本歴代2位の快挙と共に、東京五輪出場の可能性が浮上しました。 |
11日(日本時間12日)、陸上・男子短距離走の「サニブラウン・アブデル・ハキ-ム(20)米フロリダ大」が、米ア-カンソ-州フェイエットビルで行われた大学南東地区選手権・男子100m決勝で、「9秒99(追い風1.8m)」をマークして、1着に入りました。サニブラウン、東京五輪代表の確定まで秒読み。
20歳2ヵ月で9秒台は、世界歴代6位の年少記録であり、自己記録も0秒06更新しています。
【100m9秒台のサニブラウン、日本歴代2位】 日本選手が100mで9秒台に入ったのは、2017年9月に9秒98(追い風1.8m)を出した桐生祥秀(当時東洋大、現日本生命)に続き、サニブラウンで2人目となります。 |
サニブラウンはこれにより、2020年東京五輪男子100mの参加標準記録(10秒05)を、日本勢で最初に突破したことになり、専門の200m・100mに加えて、400mリレ-の3種目で東京五輪に出場する可能性が浮上しました。
世界選手権の参加標準記録(10秒10)は、サニブラウンの他、桐生祥秀(日本生命)、山縣亮太(セイコ-)の2人もクリアしています。
「正直、そんなに速く走っている感じはなかった。いつも通りの走りをして、フィニッシュした感じ。(9秒)99なんで誤差かな」。日本記録も「そのうち切れるんじゃないですか」。
出典元: サニブラウン「誤差」ボルト超え“初9秒台”も平然 (C) 日刊スポーツ
走り終わって、左側の記録板を見ると、速報値が10秒00。
確定値が0秒01繰り上がると、チ-ムメ-トから抱擁を受けたという。
それでも、通過点にしかすぎず、笑顔は控えめだったようです。
サニブラウン、東京五輪代表の確定には程遠い?
【日本男子100m、東京五輪選考について】
このほど、日本陸連が発表した選考要項で、3枠ある世界陸上代表選びが大きく変わりました。
つまり、日本選手権の成績ですぐに世界陸上内定となるのは1位のみ。
残る2枠は、従来からの参加標準記録に加えて、国際陸連がこの2月から運用を始めた「世界ランキング制度」の上位者から選ばれることになったのです。
選手総数は1900人が想定されており、標準記録により、各種目の5割が出場権を獲得します。 そして残りは参加標準記録を満たした「日本選手権優勝者(世界ランク)」で決まるのです。 リレ-を除いて、種目ごとに、最大3人までの参加選手が五輪に出場できます。 |
現時点での日本人選手の最高位は以下となり、残念ながら、サニブラウンは昨季の故障もあり、100位内にランクインしていません。
18位「山縣亮太」
27位「桐生祥秀」
48位「ケンブリッジ飛鳥」
100位圏外「サニブラウン」
【IAAF(国際陸上競技連盟)ワ-ルドランキング(世界ランキング制度)】
これは、各大会の結果で得られるポイントにより、決まります。
大会規模、重要度と、(たとえ同記録であっても)得られるポイントが変わってきますので、自己ベストではなくとも、グレ-ドの高い大会などで、多くの点数を稼げれば、挽回できたりします。
つまりは、国内外で実績(ポイント)を多く稼げれば、その選手が代表になれる訳です。
ワ-ルドランキングで上位にさえきていれば良い、ということになります。
日本選手権の決勝で惨敗しようが、それ以前に決勝まで進めなくても、代表の座を得ることができるというのが、ワールドランキングです。 今までは、参加標準記録を満たした上で、日本選手権において3位内となることが代表に選ばれる条件でした。 それが、日本選手権は、優勝以外は、ほぼ価値がなくなったも同然となったのです。 3枠のうちの1枠を決める、つまり優勝者のみが代表に選ばれるレースとなり、後はワールドランキングが決め手となって、上位競技者が選出されることになります。 このような変更が起こったことに、日本陸上競技連盟からは、今回の世界陸上代表選びの変更は、2020東京へ向けたルールに適応できるようにするため、との説明がなされていますが、地方大学のコーチなどから、日本陸上競技連盟が桐生君を選ぶためにあるようなルール、「桐生ルール」だ、といった不満の声が上がっています。 |
競合する他の選手について。
土江寛裕ヘッドコーチによる評価。
【桐生祥秀(日本生命)】…直線での爆発的なスピードあり。ただ、陸上男子100mで日本記録を有しながら、勝負弱さから「チキンハート」なる汚名を払拭できずにいます。
【山縣亮太(セイコー)】…スピードの持続力が高い。
【ケンブリッジ飛鳥(ナイキ)】…世界リレーをケガで欠場。
サニブラウン、東京五輪代表に確定するのは当然?
サニブラウンのプロフィール。
「地上最速を目指す」と豪語して、日本を飛び出した男、サニブラウン。
1999年生まれ、東京都出身で、父がガーナ人、母は日本人。
2015年7月、世界ユース陸上競技選手権大会100m走・200m走、共に大会新記録で優勝、2冠達成、同年、北京世界選手権200mでは準優勝に。
同じく、国際陸連の年間表彰で新人賞にあたる「ライジングスター・アワード」にも選ばれた。
2017年6月、日本選手権100m、自己ベスト10秒05(追い風0.6m)に更新。
同年8月、ロンドン世界選手権200mで決勝進出し、2005年大会の最年少ファイナリスト記録(【18歳355日】 ウサイン・ボルト / ジャマイカ2005)を【18歳157日】で塗り替え、7位入賞。
同年秋、一年中暖かいからという理由で米フロリダ大学に進学。 仲間と一軒家で共同生活を送り、自炊もするという。 米国の自由な雰囲気が好きだそうですが、競技継続には一定の学業成績が必要とのことなので、気を緩めてばかりではいられません。 スポーツマネジメントを学びつつ、午後から1時間半ほど、質の高い練習に取り組み、日本のコーチよりも理にかなったスキルを教えてくれるという、五輪メダリストを育てたマイク・ホロウェイ・ヘッドコーチの指導の元、苦手なスタート時の走りを改良。 188cmと大柄な彼は、大きめストライドで後半に強く走り抜く選手でしたが、現在は無理に低く出ずに、自然と上体が上がるイメージを心がけているようです。 今年3月、全米大学室内選手権、60m予選では、室内日本タイ記録となる6秒54をマーク。 スタート時の出遅れがなくなり、後半の爆発的な走りが好記録につながりました。 (過去、スタートが得意な女子短距離のバートレッタ(米国)を練習パートナーにしていたようです) |
次の目標は?
「大きな目標としては全米学生選手権で100メートル、200メートルの2冠ができればいい」
出典元: サニブラウンに聞く「練習し直しかな」次は「全米学生2冠」 (C) スポニチ
サニブラウン、東京五輪代表入りの可能性大。
【他の人々からの評価】
【自称「百獣の王」こと、タレント武井壮(陸上十種競技の元日本王者)】
9秒9台~9秒8台を出せるポテンシャルを持っていると思っていたし、まったく驚きはなかったと、サニブラウンに最大の賛辞を送っています。
【桐生祥秀(23=日本生命)】
たくさんの9秒台ランナーが出ることは、日本のスプリント界にとってもいいこと、と自身の日本記録9秒98に迫ったサニブラウンに衝撃を受けてコメントしています。
タイムこそ抜かれはしなかったものの、「日本人唯一の9秒台スプリンター」の肩書はなくなります。
【飯塚翔太(男子400メートルリレーで16年リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)、銀)】
自然と9秒台は出ると思っていましたけど、刺激になりましたとのコメント。
【ジャスティン・ガトリン】
日本社会が彼に強いプレッシャーをかけなければ、記録は伸びる、と話しているようです。
【国際陸上競技連盟のセバスチャン・コー会長(62)】
驚異的な才能を持っている、素晴らしい若手選手の一人だと、称賛しています。
【原晋監督(青山学院大・陸上部)】
マラソン日本記録保持者・大迫傑も、短距離走のサニブラウンも、海外でトレーニングしている「海外組」だと指摘した上で、指導者が精神論で支配する古典的な手法は令和では通用しないだろう、と13日、ツイッターでツイートしました。
【五輪4大会出場の朝原宣治】
東京五輪でメダルを狙える、と話しています。
土江氏は「(9秒99より)もっととんでもないタイムが出るのではないか」と予想。
出典元: 9秒台で代表争いへ=最高レベルの100メートル-陸上男子 (C) JIJI.COM
サニブラウン、東京五輪代表の確定を目指して…。
【日本陸連五輪強化コーチ土江寛裕の見解】
かねてより「代表には絶対に必要な戦力だ」とサニブラウンのことを語っていたようで、東京五輪前、最後の世界大会となる「世界選手権(ドーハ)400mリレー」で、勝負をかけたかったようですが、今大会ではサニブラウンは戦力外のようです。
日本陸連によると、フロリダ大と協議した結果、5月のレースで右脚付け根を痛めていること、22日開幕の日本選手権も欠場することなどから、エントリーを見送るとのこと。
「サニブラウンくんをどう迎え入れるか。今回のオーダーもそこを想定している。3ではない。(走順は)1か2か4か。2は大学で経験しているし、1はインドアの日本記録で走れる力がある。後半勝負も強い」
「9秒台が2人になったのは、東京五輪に向けて追い風。どうマネジメントするかが私の仕事」
出典元: リレー侍、東京五輪金メダルへ、サニブラウンはどこに?土江強化コーチ「1か2か4」 (C) デイリースポーツ/神戸新聞社
サニブラウン、東京五輪代表は、確定するのか? 「地上最速を目指す」と豪語し、海外組として走り続けるサニブラウン。 世界ランキング制度では100位圏外となっていて、桐生祥秀に追い風となっています。 今回の東京五輪代表選では、確定されるのでしょうか。 |